天国の地獄
別府の夜の雰囲気は言葉よりも肌で体験した方がより伝わる
夜になると火照る体と裏腹に心地よい風が吹く。
近くの銭湯で体を洗った後の帰り道、
一日中歩き回った足取りも軽やかになった代償に
硫黄のにおいが肌に染みついていることに気づき
「やっぱり温泉ってすごい」と少し笑えた。
さっきまでの蒸し暑くて古臭くて、でも懐かしくもある
温泉「竹瓦温泉」でおじさんに風呂の入り方を
口を酸っぱく言われたのが懐かしい
ここにいると何もかもが許せる気がする
温泉には体を癒す以外の力があるらしい。
温泉は昔から傷ついた人や事情があった人の逃げ場とされ
彼らをすべて受け入れその傷を癒してきた。
そんな風に遠い日本の真ん中のぱっとしない大いなる田舎
名古屋から来た新参者も地元の人に、また温泉に受け入れられ
別府という町の一面を見せてもらった。
今もまだ微かに温泉の恩恵が肌に残ってる
旅の思い出は視覚よりも聴覚、または嗅覚の方が鮮明に
当時のことを覚えてるというが、間違いはなさそうだ
街の至る所に「ここは地獄だ」と言わんばかりの
看板や料理の数々。
100℃に近い温度で湧く地球の排出物をここまで
自分たちのいいように利用して楽しむ人間及び日本人の
能力は半端ではない
こんなにも天国なのに自称“地獄”だなんて、この町は
なんて天邪鬼なのか・・・
ホテルの銭湯は夜25:00まで営業しているそうだ
よし、今度こそあのゆで卵のにおいをとってやろう!
そうして本日七回目の風呂に向かった。
においは全く取れなかった。