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少女はなぜ春を売られてしまうのか~ネパールの少女の人身売買問題について調べてみた

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こんにちは、ネパールの旅行会社にインターン(職業体験)しています。ヒロトです

先日ネパールの社会問題について調べる中で少女の人身売買についてインターネットを通して調べたので自分なりにまとめてみました。

なぜ僕がこの問題に関して書くのか、勿論専門家が書いた文章の方が的確で情報も正しいと思います。本当にこの問題に興味がある人はこの後に貼るリンクがあるのでそこに飛んでほしいです。

しかしこの問題について全く知らない人もいると思います。僕もはじめはそうでした。僕がTwitterSNSなどでこの問題について取り上げることで、僕のように初めて興味をもつ同世代がいたら嬉しいと思ってこの文章を書いています。

またネパールの良いところだけを発信する。これも僕は違うと思っています。いい面も悪い面も知ったうえでネパールが合うか合わないかを判断してほしいです!知ってもらうだけでもいいです!

男子高校生が踏み込んでいい問題なのか。など少し迷いましたが、肯定も否定もいろいろな意見が飛び交っていいと思ってます。なので今回はいろんな声を聴いてみたいです。 

 

 

 

1. ネパールの人身売買の現状

 



アメリ国務省の調査によるとネパールからインドに向かう少女の数は1万~1万5000人を超え、そしてインドの売春宿で強制労働されている全体の数は約15万~20万人を超えるそうです。

その年齢層は主に14歳から18歳で中には5歳や7歳の子供もいるそうです。「借金を払え」と言われ、ほぼ無給で一日約10人もの男性の相手をしなければいけない。家の門にはガタイのいい男性が見張っていて、とても外に脱出することができません。もし出られることがあるならば、客から相手されない年齢になるか、性病で倒れるか、救助されるかのどれかです。

場所によって変わりますが、約半数もの女性がAIDSの感染の疑いがあり、客側もコンドームの使用を推奨されるがそれを無視し、自分の欲望を満たそうとします。

じゃあなぜ、ここまで若い多くの女性が求められるのか。

それはインド人のいくつかの理由があるそうです。

1. ネパール人の肌の色がインド人より白い

インドにあるカーストを見ていくと分かるように肌の黒い人は比較的下のカーストにいます。そして肌の白い人が上のカーストにいます。つまり売春宿から言えば肌が白いほうが需要があり貴重ということになります。ネパール人はインド人より肌が白い傾向にあり、そのため客側の需要も高いといえるでしょう。

2. 宗教観で重視される”処女”ということ

ヒンドゥー教の世界では”処女であること”が特に重要視されています。

例えばネパールの生き神様 クマリ 

Wikipediaで調べてみるとこんな記載があります。

クマリ(Kumari、Kumari Devi)は、ネパールに住む生きた女神である。サンスクリット語で「少女」「処女」を意味する[1]。密教女神ヴァジラ・デーヴィー、ヒンドゥー教の女神ドゥルガーが宿り、ネパール王国の守護神である女神タレージュやアルナプルナの生まれ変わりとされており、国内から選ばれた満月生まれの仏教徒の少女が初潮を迎えるまでクマリとして役割を果たす。中には初潮が来ず、50歳を過ぎてもクマリを務めているケースもある。

このように宗教や文化的な背景から若い又は若すぎる少女が人身売買の世界にいるのではないかと思いました。

勿論クマリの存在を否定するわけでは無いですが、このような所に影響がないとは言い切れません。


現在はNGOの精力的な活動の甲斐もあり、売春宿から抜け出すことができた人もいますが、20万人もの人がいる中ではほんの一握りでしかありません。ここで一つのデータを紹介します。

図 人身売買で逮捕された人の数と救助された被害者の数

この図が示すように、2017年に救助された人の数は607人と年々上昇していますが、その道はとても長いです。そして人身売買で逮捕された人の数は154人と全体の数は分かりませんがまだ潜んでいると思われます。

個人的に年々逮捕者が一定数いるという現状がこの問題の大きな点だと思います。そしてなぜ2015年まではここまで逮捕者が少ないのか。

仮説ではありますが、警察の中にも売春宿に賄賂をもらっていて見逃している警官がいるからではないかと考えています。警察の捜査の直前に売春宿に情報を流して少女を隠れ部屋に隠す。こうして今までの捜査を乗り越えたのではないか。

そしてここ数年はNGOさんの活躍や積極的な捜査によって店が摘発され救助される少女の数が増加したのではないか。これが僕なりの考えです。

2. なぜネパールの少女は売春宿にたどり着いてしまうのか

様々な記事を読んでいく中で3つのパターンがあるというということが分かりました。

1つ目は誘拐で連れ去られていくパターン 

2つ目は「いい仕事がある」と言われ信じてついていくパターン 

3つ目は彼氏を装った男に惹かれ共にインドに行き騙されるパターン

2つ目と3つ目に関しては少女が自分の意志で村や町を離れ、インドに向かっていいることがポイントだと思います。ネパールの農村の少女は家族を助けようという思いで家事に勤しんでいるために教育が十分に受けられなかったり、判断力が強くないため「インドに行けば稼げる」という言葉を信じ「ここに行けば家族が楽になる!」と情報を鵜呑みにしてしまうケースがあるそうです。そして村の中で信頼されていた若者が甘い言葉で誘ったり、親が甘い言葉を信じて子供を送ってしまうこともあるそうです。(母親が視覚障がい者で娘が工場で働いていると信じ込んでいた)

現在NGOなどが学校で情報を鵜呑みにしないための授業を行うなど、少女を守る啓発活動が行われています。少女の識字率と情報分析力が上がれば少しは被害が防げるのではないかと感じます。

 

僕の思っていたネパールの人身売買のイメージは村の女の子が連れていかれるというイメージでした。

しかし、長谷川まり子さんの記事を読む中で都心部の教育を受けている少女も被害に遭っているということを知りました。背景には格安で購入できるインターネット環境や自由恋愛を否定するヒンドゥー教の影響から恋愛慣れしていないことが大きな要因だそうです。

スマートフォンを持つネパール人はかなりの確率でFacebookをやっています。日本でいうLINEのようなものです。そのFacebookを通してある男性が少女が投稿した写真を見てコメントします

「君はとてもかわいいね!!とても美しいよ!」

こんな甘い口説き文句で少女は嬉しくなり、好きになってしまいます。

 

ヒンドゥー教の習慣から男性との交流が活発でないために褒め慣れておらずこのような男性の甘い言葉にすぐに騙されてしまう現状があります。(ちなみにネパールは約8割がヒンドゥー教徒)長谷川まり子さんはこの様子を恋愛偏差値が低いと表現していました。そして男の「インドに行って一緒に住もう」という言葉に乗せられて気が付いた時には男性は消え、自分が売春宿にいることを自覚し絶望します

最近は映画でのキスシーンや自由恋愛がタブー視されない世界になってきました。僕の知り合いのネパール人も自由恋愛でした。お互いが信頼し合っていて本当に素敵な夫婦だと思います。これからネパールでも自由恋愛をする文化が一般的になってきて、恋愛偏差値が上昇し、一人の人間として自由を選択する権利を持つ。または自分を守る知識を身に着けて自分の体を守ってほしいと思います。

最後に

今まで調べてきて共通していることは少女の知識不足を狙っているという点です。

金のために人権を無視している人間から自分を守るためには少女が現状を理解し、過去の経験を活かし最悪の事態を未然に防ぐことです。

この問題は教育というアプローチから少しづつ良くしていけるのではないかと感じています。

これからもNGO団体や様々な人たちの活動が一人でも多くの人の命を救えることを願っています。

日本ではあまり聞き慣れない人身売買。

しかし、タイとライスの国境では「人身売買禁止」という看板があるようにアジアの中ではまだこの問題が消えることはそう簡単にできることではありません。

今回調べてみて、衝撃的な内容に多く遭遇しました。「こんな酷い状況が本当にあるのか」と思いました。

 

 

若くしてあまりに早すぎる春を無責任な大人に売られた少女達

村の中にはレイプされた少女を「けがれた存在」と見なし、救出されても「村に帰れない」と嘆く少女もいるそうです

これから一人でも多くの女性が救出され、保護団体のサポートを受けて未来に希望を持ち、笑顔が咲くことを願っています。

 

 

そしてこの状況は日本でもあると思います。先日ゆゆめるさんという方が女子高生を狙って地位などで信頼させて性的嫌がらせする大人。通称JK大好きおじさんについて記事を書いていました。記事→JK大好きおじさんについて

 

このように信じた大人に騙されて一生癒えない、誰にも言えないような傷を負ってしまう人がいるかもしれません。世界の中で何よりも大事な自分を守るためにも情報を判断する力が必要だと思います。男性だってもちろんそう。

今まで僕はネパールのいいところを取り上げてTwitterなどで取り上げていたと思います。しかし、ネパールは現状後発発展途上国であり抱えている問題は山のようにあります。児童労働、衛生問題、不安定な政治など。。

このような問題にもしっかりと目を向けて本当のネパールを知ってほしいと思います。

男子高校生が考えて文章を考えてみました。この文章を書いていく中で「これを読む人はどう思うのか?」と何回も思いました。

僕と同じような年齢の少女が売春宿で経験したことの痛みや苦悩の全てを僕は理解できる訳ではありません。ですが、知ること、伝えることに意味があると思っています。

拙い文章と考察ではありましたがここまで読んでくださりありがとうございました。

残りにネパール滞在も気を引き締めて多くのことを吸収していきます。

追記

【2019/3/3 17:22】取材について

今回文章を公開した中で「実際に少女を保護している施設を訪れ、話を聞いた方がより良いのでないか」という声を頂きました。勿論その方が信憑性も高まるし現場の声は大きな意味を持ってくると思います。

ですが今回の留学兼インターンでの滞在日数などを考えて取材を行いませんでした。このような少女のプライバシーに関わるような深い問題を数時間の滞在で引き出すのではなくて、長い時間をかけて信頼関係を築いた後に聞き出すのが礼儀であり、重要なのではないか、と思っています。以上の理由が取材を行わなかった理由です。

【2019/3/3 21:02】人身売買をする側に対しての言及について

この文章を公開した中でもう一つ気になったことを投げかけてくれた友達がいました。以下の文章が友達から送られてきた内容です(許可済み)

・・・・・

どうしても違和感を覚えたのが、「《女の子たち》の態度を変えないといけない」という内容が中心になっている点について。
大袈裟に言うとセカンドレイプ的な内容になってしまってる。(ex.「“女の子の”知識がないから〜」「“女の子が”情報を判断する力を持つことがが必要」)

私も女の子たちが等しく教育を受ける必要があると思うけど女の子たちがいくら知識をつけても、襲ってくる大人から完全に身を守れるかと思うと決してそうではない。

これは日本のパパ活・売春問題とかに関しても多くの人が見落としてしまっている視点で、【売る側】がいるなら必ず【買う側】がいる。【買う側】が存在しなければ【売る側】は出現してこない。

最近Twitterとかでも少なくない人が、売春をしている女の子側だけを攻めたり、警察も女の子側に「盗撮されているかも!気をつけて!!」みたいな広告を駅に貼っているを見るとすごくやりきれない気持ちになる。この現状はやばい。本当に。

女の子たちが教育を受けるとともに、私たちは“大人たち側こそ”変えていかなくてはいけない。

・・・・・

この文章がLineで送られてきたとき「自分は視野は自分が思っているよりも狭いんだな。」と思いました。この全体の文章を読んだら分かるように自分は常に「被害に遭った少女がなぜ被害に遭ったのか?」「この被害を防ぐために少女達はどうしていくべきか?」と少女達という一方的な目線で話をしてきました。しかし、よく考えれば友達が言ったように人身売買でお金を稼いでる悪質な大人にも目を向けるべきなのではないかと今は感じます。

参考文献の中にも、摘発や取り締まりについて取り上げてあったしこの問題を取り上げる中で必要なパートであったことに変わりません。

またこのような文章を書く機会があればより多角的に第三者の目線から物事をとらえていけるようにしたいです。頑張ります!

今回このようなNoteを公開して多くの方から意見を頂きました。「今まで知らなかったことが気づけた」「これらの問題について気になって参考文献をすべて読んだ。」などの嬉しい感想や「この問題私はこう考えている」といったように僕とは違う角度からの意見もあってとても勉強になりました。この文章を書いてよかったな、と思える声が多かったです。

また感じたことがあればここに追記していきます!

 

参考文献

ネパール 増え続ける人身売買

ネパールの人身売買の概要

SNSによって売春の闇へと堕とされた、途上国の少女たち

ネパールからインドへ児童売買…少女たちを「売春宿」へは行かせない

9歳の少女、性的奴隷として1日で60人の男性と売春させられる

ネパールの具体的な数値のデータについて

NHRC_National_Report_TIP_in_Nepal_September_2018.pdf